平成22年1月 禅は、いかにはじまったか
平成22年元旦を迎えました。トラ年です。
トラのイメージといえば、肉食、猛獣、また、漢方の薬にも珍重され毛皮も大変な宝ものということでしょう。
"虎視眈眈"といわれるように、トラが獲物を狙う姿は、姿を隠し、鋭く圧倒されるものを感じます。仏道のみならず、道に通じようというものは、その目的に向かって進む手本とみなされるところでもあります。
また、一休さんのとんち話で "屏風のトラを退治してみろ"という命令に "それでは、後ろからトラを出してくれ"と切り返す逸話は有名なところです。
そんな、トラ年の新年初の法話は、禅の始まりです。
「禅の開祖といえば達磨です。」そう考える人が多いです。
だが、もともと。坐禅をして悟りを得た人は釈尊であります。
禅は、釈迦にならい坐禅などの修行を通して、自分の中にある仏性に気付き磨こうという教えであります。
達磨は釈尊から数えて28代目にあたる祖師です。インドから中国に渡り、崇山(すうざん)の壁に向かって坐禅を始めました。いわゆる「面壁九年」です。
こうして中国禅が誕生しました。
その禅のルーツからなる数々のエピソードからも禅の意味、教えを知ることができます。
一つに臨済宗の名前の由来である、臨済禅師の語録にも本年の干支 虎が出てきます。
再捋虎鬚(再び虎の髭をなでる)とあります。
禅の教え、特に臨済禅の道では、虎は避けては通れない動物です。次回から、釈尊の坐禅から順にお話したいと思います。