十月お話は、庭です。

寺のありよう以上に、禅のこころを表しているのが、庭である。それは、枯山水(かれさんすい)と呼ばれる。 庭といえば、洋の東西を問わず、樹木や水を中心につくられていた。
だが、禅宗では「枯山水」という独特の庭を創り出した。
枯山水とは、水を用いない庭。石や砂などによって、池や河の流れなどを表現した庭を言う。 白砂には 箒目(ほうきめ)で砂紋がつけられ、これにより、山水の風景から宇宙全体までも表現している。 仏教寺院では、庭は極楽浄土など仏教の世界を表す場でもある。禅宗が「枯山水」に行き着いたのは、 水が流れているわけでもないのに、そこに水が流れていることを感じとるという表現様式こそ禅の世界観 そのままだと行き着いたとのであろう。(つまり、実体は何ものかを問うーということ)
「枯山水」が登場したのは室町時代で、禅と作庭を結びつけたのは、夢窓疎石(むそうそせき:1275~1351)だと 言われている。夢窓疎石は当代一の策定師で枯山水の心を持って、天龍寺、西芳寺(こけでら)などの、池泉回遊式庭園も多く作っている。
枯山水の象徴的なものとしては、京都、龍安寺の石庭が有名である。龍安寺の石庭は、幅二五メートル、奥行十メートルほど。 ここに白砂を敷きつめ、箒目をつけ、大小十五個の石が配している。 このシンプルの極地の庭園に禅の宇宙を見ることができる。
禅宗の庭は、東洋-(禅)の宇宙観を表現しています。